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治療を受けた動物たち

● 水頭症の手術
ナナちゃんは生後6ヶ月のミニチュア・ダックスフントの女の子です。5ヶ月くらいの時からなんとなく元気がなくなり、ボーとしていることが多く、歩く時もフラフラしているということで来院されました。
子犬や子猫などからだの小さな動物達は大人には無い問題を起こします。心臓や肝臓に生まれつき病気を持っている子や食欲がなく低血糖を起こす子などの色々な原因でナナちゃんと同じような症状を示すことがあります。
診察の結果、身体検査や血液検査などに大きな問題はなく、どうやらこの症状が脳からきているらしいことがわかりました。
次はCT検査です。動物の場合、人間と違いCT検査にも全身麻酔が必要ですが、今では、動物も人間と同じ安全な麻酔薬が使われているので、ナナちゃんのような子や、もっと小さな子でも問題なく麻酔をかけることができます。
CT検査の結果ナナちゃんの脳に重大な問題が発見されました。「水頭症」です。
水頭症は脳の中に存在する脳脊髄液といわれる液体が過剰にたまってしまうことによって神経細胞が障害を受けてしまう病気です。

ナナちゃんの頭部 CT画像
ナナちゃんの頭部 CT画像
☆脳の中にある黒い部分が過剰に溜まった脳脊髄液です。
脳実質の容積が非常に小さくなっていることが、神経症状の原因となります。
水頭症ではてんかん発作やナナちゃんのような沈鬱、ふらつきなど色々な症状が出ます。これまでの治療では内科的に薬を飲ませていましたが、満足に良くならず非常に短命に亡くなってしまう子がほとんどでした。そこでナナちゃんは手術をうけることになりました。人間では、水頭症の治療には手術をおこない、良い結果が得られています。手術はV-Pシャント術とよばれ、脳からお腹までチューブを通して、脳に溜まる過剰な液体をお腹の中に誘導、排出する手術です。
手術に使用するチューブ
手術に使用するチューブ
☆人間用のチューブを使用します
手術ではナナちゃんの頭蓋骨に穴を開け、チューブを入れそれをお腹の中まで通しました。大体1時間くらいの手術です。手術では大きな問題もなく1週間の入院でナナちゃんは元気に退院しました。
手術後の外観です
手術後の外観です
☆頭からお腹まで皮膚の下をチューブが通っています。
(写真の子はナナちゃんではありません)
手術から1ヵ月後のCT検査では、ナナちゃんの脳に溜まっていた水も抜けていました。
手術1ヶ月後のナナちゃんのCT画像
手術から1ヶ月経ったナナちゃんのCT画像です
☆溜まっていた脳脊髄液が抜け、脳も正常に近い状態に回復しています。脳の中にある白い点が挿入しているチューブです。
現在ナナちゃんは手術から8ヶ月経ちましたが、手術でかった毛も生え揃い、一緒に暮らしているワンちゃんたちと同じように元気に暮らしています。
手術6ヶ月後のナナちゃん
手術から6ヶ月経ったナナちゃんです
☆元気に普通の子と変わらない生活を送っています。
水頭症の手術では高価な人間用のチューブを使用するため、高額な費用が必要となります。ただし、今まで治療困難で短命に終わっていた小さな命を救うには非常に有効な治療法であると当院では考えています。
(文責:獣医師 王寺)

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