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TOP >> 過去の症例 >> 避妊手術について
治療を受けた動物たち

● 避妊手術について
今回、《治療》ではなく避妊手術の紹介をさせていただきます。
避妊手術は、子供を産めなくするだけの手段ではなく、様々な病気を予防するということが本来の目的です。そのいくつかをご紹介すると
  1. 子宮、卵巣の病気の予防
    犬や猫も人間と同じように様々な子宮や卵巣の病気に罹ります。卵巣腫瘍・子宮の腫瘍はもちろんですが、人間にはあまり存在しない子宮蓄膿症という子宮に膿が貯留してしまう恐ろしい病気もあります。このような病気に安全で有効と考えられる薬は無く、治療の第1選択は外科手術です。ただしこのような病気に罹ってしまう動物の多くは高齢であり、病気で体が弱っているので、手術でもリスクを伴うことになります。

  2. 乳腺腫瘍の予防
    人間と同じように乳腺の発達は卵巣より分泌するホルモンにより支配されており、また犬の場合は発情(生理)後に妊娠していなくても、妊娠時と同じようなホルモン分泌を生じるため乳腺の発達が生じ場合によっては乳汁の分泌が認められる子もいます。そのため、高齢になると乳腺腫瘍が出来てしまうことが良くあります。犬の乳腺腫瘍は良性・悪性の割合が50%・50%といわれ、悪性のものでは転移率の大きな腫瘍です

避妊手術を行うことにより、子宮、卵巣の病気の心配がなくなるだけではなく、乳腺腫瘍の発現を抑えることが出来ることが、最近のアメリカの文献で統計的に立証されました。ただし、乳腺腫瘍の発現に関しては初回の生理前に避妊手術を行うことにより95%ぐらいの子で発現の可能性が無くなり、その確立は生理の回数ごとに減少し、4回目の生理以降ではあまり効果がないと報告されています。これらの事を考えるとなるべく早めに避妊手術をすることに疑いの余地はありません。また、若く・健康な時期は回復力も早く、病時の手術のような危険性も伴いません。飼い主の皆さんも病気の予防のために、なるべく若いうちに避妊手術を行うということをもう一度考えてみてください。

それでは手術についてご紹介します。
患者さんは富士子ちゃん 6ヶ月のマルチーズです。

避妊手術についてまず、ワンちゃんの一般的な状況を調べるために身体検査から実施されます。問診・視診・聴診・触診を行い健康状態を確認します。
避妊手術について次に血液検査と血管確保です。全身麻酔をかける必要があるため腎臓・肝臓などの機能の評価・貧血の有無などを確認します。また、静脈内に留置針を入れることで静脈点滴や薬剤の投与に備えます。
避妊手術について健康状態に問題が無ければ短時間型の注射麻酔により眠らせ気管内挿管を行います。気管内挿管により、安全な吸入麻酔での全身麻酔・酸素吸入・人工的な呼吸管理が可能となります。
避妊手術について麻酔中は、体温・心電図・麻酔濃度・血液酸素飽和度・終末呼気二酸化炭素分圧をモニター・測定することで麻酔中の体の変化を的確にとらえることが出来ます。
避妊手術について手術は滅菌した手術衣、器具を用いて清潔な手術室で行われます
避妊手術について吸入麻酔の覚醒は速く、体内への残存はほとんどありません。
一晩だけの入院で次の日には退院することが出来ます。
術後1週間で抜糸します。傷口もほとんど目立つことはありません。
若く、元気な時に行う避妊手術は決して怖い手術ではありません。皆さんも病気の予防という面から一度考えて見てください。
(文責:獣医師 王寺)

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