TOP
>>
過去の症例
>> 子宮蓄膿症
● 子宮蓄膿症
7歳、マルチーズのルルちゃんは、ここ1週間元気がなく吐いたり下痢をしたりするということで来院されました。
診察室に入ってきたルルちゃんの歯茎は真っ白で、足の先は冷たく、血圧も落ちており、かなりしんどそうでした。また、正常に比べておなかが張っている印象を受けました。
元気消失、食欲廃絶、嘔吐、下痢が1週間続いたということから、全身的な異常が起こっていると考え、血液検査を、そしてなにより、避妊手術が済んでいないということから、腹部レントゲンでおなかの中を検査しました。
腹部レントゲン
下腹部に拡張した管状構造物が見えます。
血液検査では、体が細菌などと戦っているという指標になる白血球が通常の約3倍にまで増えてしまっており、腹部レントゲンでは下腹部に通常では見られない管状の異常陰影が見られ、子宮に膿が溜まってしまう子宮蓄膿症が強く疑えました。
超音波検査
膿が貯留し、拡張した子宮
確認のため、超音波検査にて下腹部の管状構造物を検査すると、液体成分(膿)によって拡張した異常構造が確認できました。
飼主さんには、現在の状態、年齢、未避妊であること、血液検査、レントゲン検査から子宮蓄膿症の可能性が考えられるということ、血圧低下等かなり状態は悪く、一刻も早い手術が必要だということをお話しました。
摘出された卵巣と子宮
手術によって摘出した卵巣と子宮です。子宮は通常では細いひも状ですが、膿が貯留し拡張しています。
拡張した子宮の内部には血様の膿が貯留していました。
術後、数日間の入院と積極的な抗生物質療法、輸液療法を受けて、すっかり元気になってくれたルルちゃんです。
中高齢の未避妊のワンちゃんは、子宮蓄膿症にかかりやすいと言われています。その大きな原因としては、犬は人と違って生理がない、ということです。人の子宮は毎月の生理により子宮内膜が新しく生まれ変わりますが、犬にはその生まれ変わりが無く、年齢と共に子宮内部はどんどん古くなります。また、発情中〜発情後は大腸菌などが膣から子宮に侵入しやすいこと、女性ホルモンによる子宮内部の免疫力低下なども重なって、子宮蓄膿症が多く発生します。
このような理由から、当院では繁殖を希望されない方には、若い時期での避妊手術をおすすめしています。
健康なワンちゃんの避妊手術であれば1泊の入院で済み、術後の抗生物質の注射や点滴は必要ありません。
また、ルルちゃんもそうであったように、子宮蓄膿症の患者さんは非常に状態が悪く、敗血症等、命の危険も出てきます。避妊手術は今回の子宮蓄膿症を予防できるだけではなく、多くの利点があります。
くわしくは当院HP「
避妊手術について
」をご参考にされるか、当院スタッフまでご相談ください。