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過去の症例
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● 膝蓋骨内方脱臼
2 歳ポメラニアンのうめちゃんは、時々右の後足を上げてスキップのような歩き方をするとの主訴で来院されました。以前から何度かそういうことはあり、最近その頻度が増えたということで心配されていました。
これまでに大きなけがや病気は特にありませんでした。
診察室での歩き方に特に異常はなく、身体検査では、後肢を触診しても特に痛がるところもありませんでしたが、両後肢の膝蓋骨(膝の皿)に脱臼が認められ、膝蓋骨脱臼による後肢の異常が強く疑われました。
確認のために、レントゲン検査を行いました。
骨折やその他の関節疾患などの異常は認められず、両側の膝蓋骨脱臼が認められ、両側の膝蓋骨内方脱臼と診断しました。
右後肢の膝のレントゲンです。真ん中に見える膝蓋骨が中心から右にずれています。
同じく左後肢の膝のレントゲンです。こちらも膝蓋骨が中心から右にずれています。
注:膝蓋骨が正常な位置にある状態
膝蓋骨が外れた状態
治療法としては、運動を制限するなどの内科的治療を行う場合もありますが、うめちゃんのように若齢であり、スキップ様歩行という症状を示している場合は、関節を完全に痛めてしまう前に手術により整復することが必要であることを飼い主さんにお話し、程度のひどい右後肢の整復をはじめに行い、その後左後肢の整復を行うことにしました。
術後1週間の絶対安静のための入院。その後、退院した後も定期的な検診と4週間の運動制限を行いました。
術後の右後肢のレントゲンです。
膝蓋骨が中心に整復されています。
同じく術後の左後肢のレントゲンです。
現在、術後4週間が経ち、まだ膝を気にすることはありますが、後肢を挙上することなく歩けるようになっています。
膝蓋骨内方脱臼とは、
膝蓋骨は、後肢の骨の溝に収まっており、正常では外れないのですが、遺伝や外傷による膝関節の異常から、溝が浅くなり外れてしまう膝関節の異常です。小型犬種(トイプードル,ヨークシャーテリア,ポメラニアン,ペキニーズなど)に多く発生し、一般的に4ヵ月齢以上で発症します。症状は時々みられる「スキップ様歩様」が次第に悪化します。時には骨が変形し、後肢が動かなくなってしまうこともあります。歩様の異常に早期に気づき、適切な治療を行うことが必要不可欠となります。
「スキップのような歩き方をしている」「後足を挙げて歩く」様子をみつけた時は、放置せずに早めに一度病院で診てもらうことをお勧めします。