井戸端SITE
プロフィール
獣医療への考え方
過去の症例
ブログ
TOPページへ



TOP >> 過去の症例 >> 股関節形成不全とは
治療を受けた動物たち

● 股関節形成不全とは
股関節形成不全とは
股関節形成不全(Canine Hip Dysplasia :CHD)は、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーなどの大型犬に多く、遺伝的な要因が極めて強いとされています。股関節の発育不全、変形などにより、関節が弛緩し、後肢の慢性的な跛行、歩行時の腰のふらつき(モンローウォーク)、横すわり、痛みなどが生じます。

● 病気を防ぐには

現在のところ、発症原因遺伝子が特定されていませんが遺伝する病気であるとすると、これを防ぐには、それらの遺伝子を持っている犬の子孫を後世に残さない。これが一番単純でわかりやすい理屈であり、実際に行われてきました。
しかしながら、犬は見た目では遺伝子を持っているかどうかはわかりません。
そこで、股関節のレントゲンを撮影し、異常な状態のものを「発症している」「発症する危険性が高い」として診断することにより、それらの犬をブリードラインからはずす、あるいはそのワンちゃん自身を早期治療してあげることができます。
● 進行性の病気

股関節形成不全という疾患は、進行性であり、放置しておくと、どんどん悪化していきます。
関節の病気なので命に関わることはありませんが、犬が痛みを我慢して歩くようになり、ひどい状態になると歩くことすらできなくなります。
股関節の緩みが原因となって、股関節の骨が削れることによる変形や関節炎が痛みを生じさせるからです。
股関節形成不全とは
● 早期発見のために

視診、触診、レントゲン検査が重要になります。
触診では、特に、股関節の疼痛、関節のゆるみを表すオルトラニサイン(Ortolani sign)、捻発音、関節可動範囲の減少などをチェックします。
股関節におけるレントゲン検査では、2種類の検査方法(OFA,PennHIP)がよく知られています。
また、股関節における CT スキャン検査も非常に有効です。
● OFA vs. PennHIP

The Orthopedic Foundation For Animals, Inc.:( OFA 、アメリカ動物整形外科財団)では、一枚のレントゲン(両後足をいっぱいに伸ばした状態)で判断を行うのに対して、University of Pennsylvania Hip Improvement Program:(PennHIP )では、OFA のポジションに加え、さらにディストラクター開器という特殊な器具を用いて股関節を外側に牽引した状態と、内側に圧迫した状態の 2 つのポジションのレントゲン写真を撮影して、圧迫した時の大腿骨頭の中心から牽引したときの中心までの距離を大腿骨頭の半径で割った緩みの係数(Distraction Index : DI値)により股関節の緩み具合を検査します。
そのため、OFA では 7 段階評価のうち‘Fair’(普通)以上の結果であっても、PennHIP では Loose であったという結果が出される事もあります。
OFA では、2 歳以下の診断に関しては予備審査という形を取っていますが PennHIP では 4 ヶ月程度からほぼ正確な診断ができるとされています。
しかしながら、撮影に当たれる獣医師は、ペンシルバニアでの研修を受けなくてはならないために、すべての獣医師がこのレントゲン撮影を実施できる訳ではありません。
撮影後のレントゲン写真を、ペンシルバニア大学に送付し、診断を仰ぐ事になりますので、結果が送られてくるまでにおよそ1ヶ月程度かかります。
当院では、University of Pennsylvania Hip Improvement Program 認定医の川田 睦が PennHIP 検査を行います。
股関節形成不全とは
股関節形成不全とは
股関節形成不全とは
● 治療方法

患者さんの症状や、各検査所見、活動性、飼主さんの希望によりますが、大きく、内科治療、外科治療に大別されます。
★ 内科治療
股関節の負担を軽減し、機能温存を目的とします。
  • グルコサミン、コンドロイチンなどのサプリメント
  • 体重コントロール、運動制限
  • 非ステロイド系消炎剤による疼痛緩和
  • 低反応性レベルレーザーによる理学療法 etc.

★ 外科療法
外科治療も患者さんの症状、年齢や飼主さんの希望によってどの手術を選択するかは異なります。
様々な方法がありますが、ここでは代表的な3つの手術法を紹介します。
3点骨盤骨切術:Triple Pelvic Osteotomy
股関節形成不全とは 股関節形成不全とは
成長期に臨床症状を示す患者で、二次性関節症の併発がない場合に適用できる治療法です。股関節形成不全の症状を早期にとらえ、股関節で反復する亜脱臼を防ぐことで二次性関節症の発現を予防する効果があります。骨盤の三カ所を切り、骨盤を回転させ股関節の亜脱臼が生じない角度に固定する方法です。この治療法の多くは 5 〜 12 ヶ月の成長期の患者に用いられ、手術適応症例であれば約 80 〜 90 %の症例でかなりの臨床症状の改善が見込まれます。
股関節全置換術:Total Hip Replacement
股関節形成不全とは 股関節形成不全とは
患者の大腿骨の一部と骨盤の一部を取り除き、代わりに人口股関節を埋め込む手術です。この手術により、重度の股関節形成不全のため保存療法に反応がなく、また関節温存外科治療の適応が困難な重症患者さんがこの治療法の対象になります。生体内に人工の関節を組み込むため、術後の人工関節の破損や人工関節を組み込む骨の骨折などのトラブルやリスクがあること、クリーンシステムを備えた手術室が必要になるなど、この手術にはいくつかの制約があります。しかし適応症例に適切に組み込まれた人工関節は、重症症例に対し他の治療法に見られない正常の運動機能を回復することが可能になります。
大腿骨頭骨頚切除術:Femoral Head and Neck Osteotomy
股関節形成不全とは体重のある大型犬に適応されることは少ないですが、大腿筋群の発達が良ければ大型犬種にも適応可能です。骨盤(寛骨臼)と大腿骨頭との連絡を完全に絶つことにより関節運動時に生ずる疼痛の解除を目的とします。
股関節形成不全に対する治療法は犬の年齢、病期、臨床症状の重症度、犬の活動性、飼主さんの希望などにより決定します。治療はそれぞれの患者さんに応じて適切な処置が異なるため、レントゲン写真だけをもとにして治療法を決定することはできません。診断・治療に当たる獣医師の知識や経験、施設やスタッフの能力も重要な要素になります。
少しでも負担の少ない治療をうけてもらうには、早期発見・早期治療が大切です。

当院では予約制にて、股関節の精密検査を受け付けております。
詳しくは当院スタッフまでご相談ください。

このページのトップへ

(c) copyright TSURUMI RYOKUCHI ANIMAL HOSPITAL All Rights Reserved
POWERED BY PetCommunicationsCo.,LTD