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治療を受けた動物たち

● 悪性腫瘍・癌
ここ十数年のうちに、動物に発生する悪性腫瘍・癌が増えたといわれています。
その要因として、以下のようなことが考えられます。
  • 人と同様、動物の平均寿命が延びたこと
    (動物も高齢化社会ですね)
  • 飼主さんの動物における悪性腫瘍の認識が高まり、早期発見や治療の機会が多く与えられるようになったこと
  • 以前に多く見られた癌が飼主さんの意識向上および適切な予防の結果、減少したため、新たな癌の発生が目立つようになったこと
    (乳癌、前立腺癌などは減少し、口の腫瘍や骨の腫瘍、血液の腫瘍が増加していると報告されています。)
これらの要因に伴い、動物が悪性腫瘍・癌の検査や治療を受ける機会は増加していると思われます。
癌、悪性腫瘍と呼ばれる病気は、もともとは体の一部分として正常に働いていた細胞が、無秩序に増殖を始めてしまったことによるもので、なりやすさに差はありますが、基本的には体のどの部分にも起こりえます。そのような中で、今回は、口の中にできる癌・悪性腫瘍についてお話します。
<口の中にできる悪性腫瘍>
口の中にできる癌・悪性腫瘍は、体表にできる癌と比べるとその発見が遅れることも少なくありません。また、口という複雑な構造上の問題から、癌を残すことなく切除するのが困難な場合も少なくなく、癌を広範囲に切除した場合、外貌が大きく変化することもあります。

犬ではすべての癌の6%が口腔内腫瘍で、癌全体で4番目に多い癌です。猫では癌全体の3%を占めます。

なりやすい年齢は犬で7〜12歳、猫で10歳前後です。

なりやすい品種としては、プードル、ダックスフント、シーズー、ゴールデン・レトリーバーなどが挙げられますが、この品種以外でも完全に安心はできません。

なりやすい癌・腫瘍としては、悪性黒色腫(メラノーマ)、扁平上皮癌、線維肉腫などがあります。
また、良性腫瘍も発生することもあります。(歯肉腫)
癌・腫瘍と一言で言っても、どのタイプの腫瘍になっているかで治療法や予後が大きく異なります。
<症状>
初期症状として、過剰なよだれ、口からの出血、口を痛そうにする、口の中が部分的に腫れている、などがあります。
このような症状が見られれば要注意です。
<診断>
不幸にも口腔内腫瘍が発生してしまった場合、治療に入る前に、まずはその腫瘍がどのタイプの腫瘍であるか?口の中のどこまで進行(浸潤)しているのか?癌は口だけに限定しているのか?体の他の部位に転移していないのか?など、多くのことを評価しなければいけません。

そのために、レントゲン検査や血液検査を実施したり、口の中のできものを少し採取し、細胞を調べたりして、状況の把握をおこない、今後の治療プランを飼主さんと相談することになります。
<治療>
悪性腫瘍の治療には主に、手術による外科療法、抗癌剤による化学療法、放射線照射により癌細胞を殺す放射線療法、自己の免疫力を活性化して癌細胞を殺す免疫療法があります。
治療方針は、腫瘍のタイプや発生場所、年齢、全身状態等に加え、飼主様の意向に沿った形で決定されていきます。
口腔内腫瘍には、主に外科治療、放射線治療、抗癌剤治療が実施されることが多いです。
悪性腫瘍・癌 悪性腫瘍・癌
写真は下顎に発生した悪性腫瘍(扁平上皮癌)で、よだれや膿が出ていました。肺や他の臓器には転移していませんでした。
治療としては、顎関節より下顎の半分を切除することにより、よだれや膿などに伴う患者さんの不快感を軽減できました。
悪性腫瘍・癌 悪性腫瘍・癌
写真は下顎にできた良性腫瘍(形質細胞腫)です。良性ではありましたが、局所での再発が多いこと、および一部、骨に浸潤していたため、下顎の部分的な切除を実施しました。
口腔内腫瘍には悪性のものが多く、決して楽観視できません。しかしながら、腫瘍のタイプや発生場所(口先なのか奥なのか)によってもその予後は大きく異なり、やはり早期発見に尽きます。手術後の採食、飲水に際して、困難な様子を示す患者さんは少なく、手術による顔の変化も、多くが飼主さんにとって受け入れられる範囲だと思います。
早期発見のためにも、普段から、ときどきは歯や歯茎、舌の状態をチェックしてあげてください。

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