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治療を受けた動物たち

● 尿道の結石による尿道閉塞
5歳 雄のペルシャ猫のムックちゃんは、昨日から何度もトイレに行くけれども全く尿が出ない、元気もないという主訴で来院されました。診察室では緊張しており、見た目からは特に異常は認められませんでした。しかし、腹部を触ってみると膀胱が破裂しそうなくらい拡張し、尿道の完全閉塞を起こしていることが分かりました。
尿道の完全閉塞
膀胱から尿が排出される経路が尿道です。この尿道が結石や異物により閉塞すると尿が出にくくなってしまいます。尿道が完全に閉塞してしまうと、全く排尿出来ないため、本来、腎臓から尿として排泄される尿素窒素(BUN)やカリウム(K+)が血液中に貯留する高窒素血症や高カリウム血症を起こしてしまいます。このとき、処置が遅れると亡くなってしまうこともあるため、すぐに治療する必要があります。

このことをオーナーさんに伝え、すぐに尿道閉塞の治療を開始しました。さらに、その原因を調べる検査として尿検査、腹部エコー検査を実施。身体の一般状態の把握するために血液検査を行いました。

尿 検 査: 尿潜血:3+
尿沈さ:ストラバイト結晶(+)
pH(正常値6.0〜7.0):8.5
腹部エコー検査: 膀胱壁の重度肥厚
膀胱内に大量結晶が認められる
大型の結石は認められない
その他、腎臓などには異常なし
血 液 検 査: 血中尿素窒素(正常値10〜30):120μg/dl
血中カリウム(正常値3.0〜5.0):6.0μg/dl

検査の結果、ストラバイト結晶による尿道閉塞であることが分かりました。
ストラバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)
尿路感染症や、先天的素因、食物などの関係によってアルカリ尿になると形成されやすくなる結晶である。顕微鏡で確認できるほどの小さなものから、肉眼で白い結晶が確認出来るもの、さらには膀胱を占拠してしまうほど大きなものまであります。しかし、尿が酸性になると溶解するため、特別な処方食に食餌変更することにより、結石の形成を予防することが出来ることもあります。
治療
大きく分けて2つあります。ひとつは投薬、点滴、食餌の変更といった内科的治療と、もうひとつは結晶が詰まってしまう細い尿道を拡げる外科的治療とがあります。
もちろん症例によって選択は異なりますが、今回は、まず内科療法を行いました。
内科療法
  • 尿道の最も細い部分に詰まった結晶を細い管(カテーテル)を使って洗い流しながら、閉塞を解除し、カテーテルを膀胱内にまで通す
  • 膀胱内に溜まった尿を全て排泄させる
  • 膀胱内をリンゲル液で洗浄
  • 点滴を行い、尿量を増やし、尿素窒素、カリウムの排泄を促進する
  • 尿道にカテーテルを装着した状態で尿量のモニターを行う
  • 膀胱内の結晶を溶解する処方食に食餌変更
閉塞を解除することにより排尿が可能となり、高窒素血症、高カリウム血症も改善が認められました。と同時に食欲元気が回復し、3日後に退院。その後通院による治療に切り替えました。

しかし、退院2日後。再び尿が出ないということで、来院されました。膀胱内の結晶が再び詰まってしまったのです。つまり、内科的治療だけでは治療することが出来なかったのです。
そこで、内科的治療に加え、外科的治療を行うことにしました。
外科的治療

会陰尿道造瘻術 ⇒ 雄の尿道の最も細くなった(結晶が詰まりやすい)部分を切開し、拡げることで、結晶が詰まらないようにする手術。

この手術を行った後、5日で退院することができました。現在、処方食を継続し、再発することもなく元気にしています。
− 注意! −
外科的治療を行っても、膀胱内に結晶が形成されなくなるわけではないため、食餌療法を中心とした内科療法は継続する必要があります。

ネコが尿道閉塞を起こした場合、いつも同じ治療によって、同じ経過を辿るわけではありません。早期発見であれば、内科療法だけで治癒する場合が多いことも事実です。尿が出にくい、尿に血が混じる、尿の回数が多いといった症状を示した場合は、「そのうち治る」と思わず、すぐに近くの動物病院に相談するようにしてください。

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