| 獣医療における表現・定義・法的根拠の曖昧さの改善にむけて |
獣医師が関わる多くのことを獣医療と捉え、動物の大小・品種などで大別していることが、社会から見た獣医師の役割というものをわかりにくくしています。
獣医療を動物医療と表現し、対象動物の社会的意義によって区別するとわかりやすくなります。
つまり、動物医療の対象を経済動物(産業動物)・伴侶動物・野生動物・その他(展示動物・実験動物・学校飼育動物など)と分類することで、その目的がよりわかりやすくなります。
経済動物医療においては、当然、国民への安全かつ安心できる食品の提供と確保が最優先されるべきであり、動物の経済的価値を考慮に入れた動物医療が必須となります。
しかし、経済性を追求するばかりではなく、動物福祉についての考慮も重要です。
伴侶動物医療においても、もちろん、診療に際しての経済的配慮、人・社会に対する安全性の確保(共通感染症の防御など)が重要であります。しかし、「ペット」が「コンパニオンアニマル」として、「家族の一員」「社会の一員」として認識されるようになってきた近年では、「人と同様に、より高度な、より専門的な動物医療」の提供が要求されるようになってきました。
野生動物医療においては、自然環境の保全と野生動物の保護管理、野生動物における感染症の調査・研究、人と動物の共通感染症対策が主な目的となります。
また、他の実験動物・展示動物・学校飼育動物に対する動物医療の主たる目的は、それぞれ明確であります。
ペットショップで販売されている犬や猫は、あきらかに経済動物として扱われ、決して伴侶動物ではありません。
また、研究施設における実験動物としてのウサギと小学校などで飼育されているウサギとでは、目的も疾病時の対応もまったく異なるのは明らかであります。
しかし、このような違いを一般社会が明確に理解するためには、まず、我々獣医師や動物医療に携わる関係者がそれぞれの動物医療に関する定義づけを行い、早急に共通認識を持たなければならないと思います。(それぞれの動物に対する福祉についても同様です)
その他にも、我々臨床家にとって密接に関わることとして、「動物医療補助者(動物看護士)の職域」「施設名称(クリニック・ホスピタル・メディカルセンターなど)と必要人員や施設規模の関係」なども法的には整備されておらず、個々の獣医師で、認識はバラバラであります。
伴侶動物医療を充実していくためには、まず、「伴侶動物医療におけるクリニック・ホスピタル・メディカルセンターの明確な区別」と「動物看護士の地位の確立=国家認定」に関する法的な整備が必要であり、これには、中央官庁への働きかけをはじめ関係者の多大なる努力が必要となります。
私も微力ながら自分なりに努力していこうと思っています。そして、関係者の皆さんのご協力をお願いします。
その上で、社会に適応した「動物病院とは?」「獣医師の役割とは?」「動物看護士の職域とは?」などについて、関係者がいつも意識しながら、人と動物とのすばらしい共生社会の実現に向けて、頑張っていきましょう!!
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